三室戸寺(みむろとじ)は、京都府宇治市にある寺院。山号は明星山。本尊は千手観音。西国三十三箇所第10番札所。本山修験宗の別格本山。
次のような伝承がある。天智天皇の孫にあたる白壁王(後の光仁天皇)は、毎夜宮中に達する金色の霊光の正体を知りたいと願い、右少弁(右少史とも)藤原犬養なる者に命じて、その光の元を尋ねさせた。犬養がその光を求めて宇治川の支流志津川の上流へたどり着くと、滝壺に身の丈二丈ばかりの千手観音像を見た。犬養が滝壺へ飛び込むと1枚の蓮弁(ハスの花びら)が流れてきて、それが一尺二寸の二臂の観音像に変じたという。光仁天皇がその観音像を安置し、行表を開山として創建したのが当寺の起こりで、当初は御室戸寺と称したという。その後、桓武天皇が二丈の観音像を造立、その胎内に先の一尺二寸の観音像を納めたという。
昔、三室戸寺に観音詣でをしていた富右衛門という百姓が飼っていた牛が、大層弱々しい牛だった。その牛が観音様のご利益で立派な牛へと成長し、当時地域一番といわれた権兵衛の牛に勝ち、その後、富右衛門さんは牛の仲買人として成功したという。
この故事にあやかり、三室戸寺の本堂前には石で造られた大きな牛の像「宝勝牛」が狛犬のように鎮座している。大きく開いた口中には石の玉があり、これを撫でると勝運・金運がつくといわれている。
京都府宇治市莵道滋賀谷21