天石立神社(あまのいわたてじんじゃ)は奈良県奈良市柳生町の岩戸谷にある神社。戸岩山という小高い山の北麓、標高330メートルの山中に本殿を有たず、鎮座する巨岩を直接拝する形態をとる。『延喜式神名帳』に「天乃石立神社」と記載される式内小社で旧社格は村社。
社辺は戸岩谷と称し「一刀石」をはじめとする巨岩、巨石が累々とする景勝地で、沢庵によって「柳生十景」の一に数えられ、「万年渓」と名付けられた。
扉形に3つに割れた花崗岩の巨岩「前伏磐」、「前立磐」、「後立磐」の3石の周囲の樹間に注連縄を張り廻らし、これを神体として祀る。「前立磐」は「神戸(かんべ)岩」とも称すが、他の2岩とともに天岩戸の扉石が落ちてきたものという。また昭和28年(1953年)に南西の崖から落ちてきた丸形の「きんちゃく岩」を加え祀っている。
また、神社の北方100m程隔たった所には一刀石がある。全体で長さ 8m、幅7m、高さ2mの花崗岩であるが、中央付近で斜め一直線に割れている。上泉信綱と試合をして敗れた石舟斎宗厳が3年間この地で毎夜天狗を相手に剣術修行をし、ある夜一刀のもとに天狗を切ったと思えば実はこのこの岩であったと伝え、現に岩面に天狗の足跡が残るという。因みに宗厳はこの修行で無刀の極意を悟り、柳生新陰流の始祖となったという。
奈良県奈良市柳生町柳生字岩戸谷789