元興寺(がんごうじ)は、奈良市にある、南都七大寺の1つに数えられる寺院。蘇我馬子が飛鳥に建立した、日本最古の本格的仏教寺院である法興寺がその前身である。法興寺は平城京遷都に伴って飛鳥から新都へ移転し、元興寺となった(ただし、飛鳥の法興寺も元の場所に残り、今日の飛鳥寺となっている)。
奈良時代には近隣の東大寺、興福寺と並ぶ大寺院であったが、中世以降次第に衰退して、現在は奈良市中院町の元興寺と、奈良市芝新屋町の元興寺に分かれている。
中院町の元興寺極楽坊には「かえる石」がある。かつて河内の川べりにあった殺生石だったが、太閤秀吉が気に入って大坂城に運び入れ、大坂城落城の際には、淀君の亡骸をこの石の下に埋めたという説がある。また落城後、かえる石から堀に入水する人が続いたり、堀に身を投げた人がこのかえる石のもとに浮かんできたり、という不思議なことが起こったという。その後、縁があってこの寺に移され、有縁無縁一切の霊を供養して極楽カエルに成就した。現在は、「無事かえる」「福かえる」の名石として信仰を集める。
奈良県奈良市中院町11