湯の峰温泉(ゆのみねおんせん)は、和歌山県田辺市本宮町(旧国紀伊国牟婁郡)にある温泉。
共同浴場は2箇所存在する。そのうちのひとつは、日本最古の共同浴場と言われるつぼ湯である。川岸の小屋の中に2から3人程度が入れる岩穴があり、そこに温泉が湧いている。1800年の歴史があるとされ、小栗判官回復の伝説がある。
小栗判官(おぐりほうがん)は、伝説上の人物であり、またこれを主人公として日本の中世以降に伝承されてきた物語。モデルとなった人物は、常陸国小栗御厨(現在の茨城県筑西市)にあった小栗城の城主である常陸小栗氏の小栗助重とされている。
湯の峰温泉のつぼ湯は、中世の説経節「小栗判官」において、小栗が蘇生を遂げた地とされる。そのため、この温泉の周辺には小栗にまつわる伝承が多い。特に、小栗伝説については、餓鬼阿弥となった小栗が湯の峰にやって来るまでに乗っていた車が捨てられたと伝えられる車塚、蘇生した小栗が力試しをするために持ち上げた石だとされる力石、小栗の髪を結っていた藁を捨てたところに稲が自然に生えて来たという不蒔の稲(まかずのいね)など多くの遺構がある。
1日に7回湯の色が変わると言われている。つぼ湯の少し下流に湯の峰共同浴場があり、つぼ湯もここが管理している。
共同浴場前の川岸に湯筒という源泉自噴口がある。湧出温度が高いため、ここで温泉玉子や茹で野菜を作る光景が見られる。近所の店で卵や野菜を売っているので、観光客も温泉卵作りを楽しめる。
和歌山県田辺市本宮町下湯川