徳常院は、神奈川県小田原市の曹洞宗寺院。
江戸駒込八百屋お七の恋人吉三郎が、お七の菩提を弔うために作ったという伝承から、吉三地蔵(きちざじぞう)という地蔵尊を祀る。もとは箱根芦ノ湖畔の賽の河原に安置されていたもので、江戸増上寺塔頭(たっちゅう)にいた心誉常念が、正徳3年(1713年)、神田鍋町の鋳物師太田駿河守に作らせたもの。
地蔵尊の正式名称は「福徳延命地蔵菩薩」といい、高さは八尺(約2.4m)、胸幅が五尺(約1.5m)。蓮華台座に半跏趺座(はんかふざ・左足を台座から垂らし、右足を台座の上に曲げて座っている)のお姿。輪のような光背(こうはい)があり、右手には金色の錫杖(しゃく)を持っている。
明治の廃仏毀釈の際、この地蔵尊は、古物商の手によって東京に売られてしまったが、運送中に小田原から船に積もうとしたところ、まったく動かすことができなくなったという。それを聞いた小田原の方々が賽銭を募り、有志が金を出し買い取って、ここ徳常院に建立したという。
近年は携帯ストラップ供養を執り行っており、携帯グッズ専門店「ストラップヤ」では、毎年4月1日の「携帯ストラップの日」に、お客様から送られてきた使用後の携帯ストラップを徳常院にて供養している。
神奈川県小田原市本町3丁目13-11