槵触神社(くしふるじんじゃ)は、宮崎県西臼杵郡高千穂町の神社である。天孫・瓊瓊杵尊が降り立ったという「くしふる峰」に鎮座する。社殿奥に「高天原遥拝所」がある。
創祀の事情は不詳であるが、槵触山の中腹に鎮座し同山を神体山とするため、長く本殿を持たなかったという。槵触山は日本神話の天孫降臨の地と言われている。
古来より高千穂神社の春祭りに対して秋祭りを行うなど、同社と密接な関係を持つ。秋祭りでは、年占の意味を込めた神事相撲が奉納される。かつては九州一円から力士が集まり、高千穂方と来訪方に別れて技を競ったという。
槵触山山麓には、天真名井(あまのまない)がある。井の前を神代川(くましろがわ)が流れる。天孫降臨に際して当地に水が無かったため、天村雲命が高天原に戻り、天真名井から汲んできた水を移したもので、「三田井」の地名の元である3つの井の1つであると伝えられている。また、湧出する井水は不増不減の神水として信仰され、高千穂・槵触両神社の春秋の例祭では、お旅所として神輿が安置され、神楽が奉納される。
また、木花開耶姫が出産に際して、あまりの難産に堪えられずに抱きついた石であるとも、豊玉姫と玉依姫のお産に因む石であるとも伝えられる「夜泣き石」がある。夜にうごめいて村の厄災を知らせたことから「夜泣き石」と名付けられたという。また、この石に触れると乳幼児の夜泣きが止むとされたため、子供を抱いた若嫁の姿がよく見かけられたという。
宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井713