稲佐の浜(いなさのはま)は島根県出雲市大社町にある海岸であり、日本の渚百選にも選ばれている。
国譲り神話の舞台でもある。
国譲り(くにゆずり)とは、天津神が国津神から葦原中国の国譲りを受けるという、葦原中国平定(あしはらのなかつくにへいてい)の伝説のことである。
また稲佐の浜から南へ続く島根半島西部の海岸は「薗の長浜(園の長浜)」と呼ばれ、『出雲国風土記』に記載された「国引き神話」においては、島根半島と佐比売山(三瓶山)とをつなぐ綱であるとされている。
国引き神話(くにびきしんわ)とは、出雲国に伝わる神話の一つで、次のような物語である。
八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)は、出雲の国は狭い若国(未完成の国)であるので、他の国の余った土地を引っ張ってきて広く継ぎ足そうとした。そして、佐比売山(三瓶山)と火神岳(大山)に綱をかけ、以下のように「国来国来(くにこくにこ)」と国を引き、できた土地が現在の島根半島であるという。国を引いた綱はそれぞれ薗の長浜(稲佐の浜)と弓浜半島になった。そして、国引きを終えた八束水臣津野命が叫び声とともに大地に杖を突き刺すと木が繁茂し「意宇の杜(おうのもり)」になったという。
島根県出雲市大社町