吉ケ平の岩屋(よしがひらのいわや)は徳島県勝浦郡上勝町にある景勝地・巨石。
大きな岩が並ぶその間に、天正の頃より生えているという原生林がある。この岩屋を縫うようにして、古来より那賀郡と通ずる道があり、吉ケ平林産物の搬出の唯一の林道でもある。
天正の頃、正月の寒い時期に一人のいただきさん(漁師の妻による魚の行商)が当地で雪に道を閉ざされ、飢えと寒さに苦しんでいたところ、岩屋の奥から熊が現れた。仰天し気絶したが、気が付くと熊に抱かれており、口には甘い密の飴を入れられていた。生き残り里に辿り着いたいただきさんがこの話をすると、猟師が熊を撃ちに行ってしまった。その猟師は帰らず、四、五日して岩屋へ村人と登ってみると、猟師は体を八つ裂きにされ、熊も岩屋で息絶えていた。その後、猟師と熊の霊をなぐさめるため、岩屋にほこらを建て猟場神社としてした。
徳島県勝浦郡上勝町福原