朝熊山(あさまやま)は、三重県伊勢市・鳥羽市にある山。正式名称は朝熊ヶ岳(あさまがたけ)。『三国地誌』では「岳(たけ)」とも記され、伊勢市近辺で「岳」は朝熊山を意味する。南方に連なる「朝熊山地」を含めて「朝熊山」とする場合があり、この場合には志摩市まで跨がることになる。
山頂付近は初日の出の名所で、伊勢志摩を代表する霊山として知られる。
古くから山岳信仰の対象となり、825年(天長2年)に空海が真言密教道場として南峯東腹に金剛證寺を建立したと伝えられている。1392年(明徳3年)に鎌倉建長寺5世の東岳文昱(とうがくぶんいく)が金剛證寺の再興に尽力したため、真言宗から臨済宗に改宗した。
室町時代には神仏習合から伊勢神宮の鬼門にあたる丑寅(北東)に位置する金剛證寺が伊勢信仰と結びつき、入山者が増えることになる。朝熊山付近では江戸期以降、宗派を問わず葬儀ののちに朝熊山に登り、金剛證寺奥の院に塔婆を立て供養する岳参り(たけまいり)という風習がある。
三重県伊勢市朝熊町