ル・ピュイ=アン=ヴレ(Le Puy-en-Velay)はフランスのオート=ロワール県の県庁所在地である。火山地帯に位置するため観光地として知られる。町には2つの奇岩(コルネイユ岩山とサン・ミシェル岩山)が聳える。
大聖堂ノートルダム・ドュ・ピュイ(Notre Dame du Puy)とサン=ジャック施療院はユネスコの世界遺産「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の一部として登録されている。この大聖堂は円錐状の死火山の山腹に建造されており、その山頂にはクリミア戦争時の大砲から鋳造した18mのマリア像がある。
大聖堂の中には、「熱病の石la pierre des fièvres」と呼ばれるドルメン(岩)の一部がある。ガリア・ローマ時代、病に苦しむ一人の女性がこの石の上に聖母マリアの出現を目撃したことから病が治癒したという奇跡が言い伝えられている。キリスト教が広まった後も多くの奇跡が報告され、今でも巡礼者の中にはこの石の上に寝転び、治癒を祈願する人々がいる。
また10世紀のロマネスク様式の礼拝堂、サン・ミシェル・デグイル(Saint Michel d'Aiguilhe)も人目を引く。これは標高82mの火山岩尖の上に建造されている。
サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の開始点の一つとして、また1000年以上の歴史をもつ司教座都市として、ル・ピュイ=アン=ヴレは中世におけるこの地方の文化の中心であった。
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