天狗の落ちない大石は静岡県榛原郡川根本町の寸又峡にある巨岩。
寸又峡温泉街にある外森山神社(外森神社)の参道を歩き階段を登っていくと、左手に見える。高さ7、8メートルの巨大な石が、山腹に絶妙なバランスで立っている。
ある時、光岳(てかりだけ)の天狗が2名の従者(山伏)黒法師・前黒法師を連れて大間(現在の寸又峡)の集落へと向かった。大間の小高い杜にある大きな石の上から辺りを見渡すと、そこは畑も食べ物も極端に少ない、実に寒々とした場所だった。そこで天狗は、大年神(おおとしのかみ、穀物の神)を天界から呼び寄せ、麦・稗・粟・きび・豆の五穀を持参するよう願った。やがて、大年神から袋一杯の穀物を受取り、大きな石の上に広げると、山のように盛られた五穀が杜の外にまで溢れたという。
この時、天狗が登ったとされるのが「天狗の落ちない大石」である。
現在では、大学・高校・中学をはじめ就職・運転免許・資格試験の受験者や、高層建築の鳶職・塗装工・大工・植木職関係者等の「落ちてはならない人々」の守り神として祀られてる。
静岡県榛原郡川根本町千頭346