イアオ渓谷州立公園は、マウイ島の西側に位置する。ハワイでも2番目に雨の多い地域で、特に午後になると天候が崩れやすく霧や雲が多く立ち込めている。マーク･トゥエインが「太平洋のヨセミテ」と絶賛したこの美しい景観を誇る。

「イアオ･ニードル」と呼ばれる先の尖った奇岩があり、伝説が残っている。

力自慢の神マウイの娘イアオはとても美しく、マウイは「ハワイの島々の中で一番の富を持つ立派な王としか結婚を認めない」と言っていた。しかしイアオは、半漁人の神プウオカモアと恋に落ちてしまい、マウイの目を盗み逢瀬を楽しんでいた。ところがある日、町の人に見つかり、マウイに言いつけられてしまいう。マウイは怒り狂い、その怒りの叫びは火山の女神、ペレのところまでも響き渡るほどだった。驚いたペレは、マウイのもとへいき、事情を聞いた。ペレは、「マウイよ、プウオカモアは私の友人。どうか命だけは助けてやってくれないか」とマウイを説得するが、マウイの怒りは収まらない。だが、そのやり取りを耳にしてしまったイアオが、プウオカモアの命乞いをすると、マウイは殺すことだけは思いとどまることにし、代わりにプウオカモアを岩に変えてしまった。それがイアオ･ニードルだと言われている。