葛布の滝(かっぷのたき)は、静岡県周智郡森町葛布の滝。高さ14メートル、幅2メートル。
「一の滝」から「三の滝」まであり、昔は氷の生産地として有名で、「葛布氷」として売られていた。かつては「葛」がたくさん茂る地で、これを葛布(くずふ)にしたことから由来する。
「赤牛と黒兵衛」という伝説が残る。
滝壺の主は赤牛であるとの言い伝えが昔からあり、ある年の夏に大変な干ばつが村を襲ったため、村人達は早速滝に雨乞いをした。しかし効果は無く、見かねた村の有力者黒兵衛が、小屋にあった不浄の筵(むしろ)を滝壺に投げ入れ何やら唱えながら一心に洗い清めると、どこからか黒雲がわき上がり大粒の雨が降り出した。
勢いは更に増し、川は堤防も崩し氾濫した。この濁流の中に、大きな赤牛の背に大蛇のようなものを乗せて黒兵衛の家の前まで来ると、薄気味の悪い声で「黒兵衛よさらば…」と言って下流に消えて行った。この瞬間激しいショックを受けその場に転倒し息絶えると、彼の姿はどこかに消えてしまった。
村人達は辺りを探しましたが見つけることが出来ないでいると、滝の付近にそびえ立つ榧(かや)の枝にかかっている遺骸を見つけたので、手厚く葬ってやったという。
静岡県周智郡森町葛布