デルポイはギリシア本土、パルナッソス山のふもとにあった古代ギリシアの都市国家(ポリス)である。日本語では「デルフォイ」と呼称されることも多い。「デルフィ」は英語および現代ギリシア語読みに基づく表記である。
現在は遺跡となっており、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている。デルポイの遺跡は、アポロン神殿を中心とする神域と、都市遺構からなる。神域に隣接して、有力な各諸都市の財産庫も築かれていた。デルフォイのアポロン神殿の壁には1000を超すメッセージが記されている。奴隷の解放がその主な内容である。内容は条件付きであって部分的自由を得るだけのものであったといわれている。
古代ギリシアにおいてデルポイは世界のへそ(中心)と信じられ、ギリシア最古の神託所であるポイボス・アポロンの神殿の神託で有名であった。デルポイの神託はすでにギリシア神話の中にも登場し、人々の運命を左右する役割を演じる。デルポイの神託が登場する神話には、オイディプス伝説がある。神殿入口には、神託を聞きに来た者に対する3つの格言が刻まれていたとされる。
神がかりになったデルポイの巫女(シビュッラ)によって謎めいた詩の形で告げられるその託宣は、神意として古代ギリシアの人々に尊重され、ポリスの政策決定にも影響を与えた。また時には賄賂を使って、デルポイの神託を左右する一種の情報戦もあったといわれる。デルポイに献納する便のために、ギリシアの各都市はデルポイに財産庫を築いた。これは一種の大使館の役割を果たしたとも考えられる。
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