渡良瀬遊水地(わたらせゆうすいち)は、足尾鉱毒事件による鉱毒を沈殿させ無害化することを目的に渡良瀬川下流に作られた遊水池である。谷中湖は渡良瀬遊水地内にある第1調節池の中にある貯水池。
渡良瀬川に思川と巴波川の2つの川が合流する地点の湿地帯全体が堤によって囲われ遊水池となっている。
人間の活動とは隔離されているため、野鳥が多く、昆虫・魚類なども採取される。希少な植物も多い。環境省のレッド・データブックに掲載された絶滅危惧種も多く発見されている。
貯水池以外のほぼ全域が葦原になっている。毎年3月にヨシズ生産農家らで組織される渡良瀬遊水地利用組合連合会がヨシ焼き(野焼き)を行っている。人為的な野焼きで植生遷移が抑制されていることが、結果的に多くの絶滅危惧種が残る理由の1つとなっている。
足尾鉱毒事件から100年近く経った現在では鉱毒は減少し、主に治水と利水のための地域になっている。ただし、減少したのは上流から新たに流れてくる鉱毒の量であって、遊水地の土壌には2010年現在でも銅などの鉱毒物質が多く含まれている。
元々は洪水対策目的の施設であり、降雨直後などは、全体が水びたしになる。利根川に流しきれない渡良瀬川の水をいったんこの地に貯め、利根川の水位が下がってから、徐々に遊水地内に貯めた水を放水する仕組みになっている。したがって、降雨時、降雨直後に遊水地内に立ち入るのは危険が伴う。
栃木県栃木市藤岡町内野