熊襲の穴(くまそのあな)は、鹿児島県霧島市に残るヤマトタケルノミコトの熊襲征討伝説の地。今の国分市、隼人町あたりは「曽ヒト」と呼ばれた古代人が住んでいたところ。周辺にある険しい丘陵地帯で、焼き畑耕作などで静かな生活を営んでいたが、大和朝廷の勢力の伸張とともに戦いに敗れ衰退した。熊のように猛々しく勇ましい曽ヒトを、古事記、日本書紀では「熊襲」(くまそ)と呼んでおり、首領の川上タケルが、女装した日本武尊に謀殺されるという説話も残っている。熊襲の穴は、この伝説の場であると言われている。内壁には、鹿児島県出身の画家・萩原貞行による装飾古墳風の壁画が描かれ、神秘的な空間をつくり出している。
鹿児島県霧島市隼人町嘉例川妙見