大室山(おおむろやま)は、静岡県伊東市にある標高580mの火山である。国の天然記念物に指定されている。
約4000年前に噴火してできた単成火山で伊豆東部火山群に属する。以前はおおざっぱに約5000年前の噴火で形成されたと言われてきたが、近年発見された埋没した木の年代測定などによって、約4000年前に噴火したと考えられるようになった。
大室山には浅間神社があるが、全国各地におよそ2000社あるといわれる浅間神社の中でも珍しい、祭神を磐長姫命(いわながひめのみこと)のみとする神社である。その妹である木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)や父である大山祇神(おおやまつみのみこと)を祀る富士山、および富士山本宮浅間大社と対を成すものとする説もある。
社伝では「磐長姫命が、父の計らいで妹と共に天孫である瓊々杵命(ににぎのみこと)に嫁いだが、彼女が瓊々杵命の子を身籠ったものの大山祇神の許へ返されてしまったため、当所に産殿を設けて無事に出産した」とされている。日本神話として日本書紀や古事記などに同様の記述がみられるが、彼女が身籠ったことや産殿の場所については言及がない。
磐長姫命が岩のような永続性を表す神であることから不老長寿や安産、さらには海上安全や家内安全、学問や縁結びの神としても知られている。
静岡県伊東市