えびの高原(えびのこうげん)は、九州南部に連なる霧島山の韓国岳、蝦野岳、白鳥山、甑岳に囲まれた盆地状の高原である。
高原北部に不動池、六観音御池、白紫池(びゃくしいけ)などの火口湖が点在し、池を巡る自然研究路は「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選定されている。また、ここから韓国岳や大浪池への登山道が延びており、霧島山登山拠点の一つともなっている。温泉が湧出する保養地でもある。
韓国岳北西斜面の火山性扇状地はススキ野となっており、秋には赤く色づく。これは硫黄山から噴出する亜硫酸ガスが酸化され希硫酸となりススキに含まれるアントシアンに作用するためとされ、えびの高原の雨の多さ、秋の気温低下、強い紫外線などの条件も関与していると考えられている。
周辺の丘陵地にはアカマツなどの美林が広がっており、「森林浴の森100選」に選定されている。世界でもえびの高原近辺にしか自生しないノカイドウ(天然記念物指定)をはじめとして、ミヤマキリシマの群落、コツクバネウツギ、イワカガミやミヤマイツルソウなどの高山植物が見られる。
キュウシュウジカやイノシシなどが生息しており、秋に雄のシカが雌のシカを呼ぶ鳴き声は「日本の音風景100選」に選定されている。
「えびの」という名称の由来は、秋になるとススキ野が一面葡萄(えび)色に変わる景色から名付けられたとする説が一般的である。その一方で、入り江(鹿児島湾)を望む火山(韓国岳)の裾野すなわち江火野を語源とする説もあり正確な由来はわかっていない。
宮崎県えびの市